ラウドネスメーターとは

 

放送の聴感レベル

皆さんがご覧になっている、番組間やCM間の聴感レベルが小さく感じたりして、テレビのボリュームをフェーダのようにコントロールした経験はないでしょうか?

現状のデジタル放送では音声基準レベルとして1KHz/+4dB信号に対し-20dBFS、-18dBFSと規格はありますが、実際の音が大きく聞こえる、小さくて聞こえない等は規格化されていません。

つまり、今まで設けられた音声基準レベルだけでは完全に音の音量感を制御できないのが現実です。
皆さんの中に放送にはリミッタが入っていて良くも悪くもレベルコントロールされていると考える方もいらっしゃると思います。
リミッタは、音量コントロールだけのために入っているのでしょうか?

逆に言えばリミッタが入っている割に各番組やCMごとに「音が小さい」「聞こえない」とか「やかましい」「うるさい」などと、感じる方が多いはずです。

アナログ放送の場合、映像信号、音声信号、制御信号等を決められた幅の電波中に収める必要(各オーバーを過変調と呼ぶ)があり、お互いがオーバーし合うと迷惑をかけあいます。
これを防ぐため音声ではリミッタをいれ、音圧制御をかけます。つまり音量制御もかかります。

放送のデジタル化に伴い音声や映像データを局から受信機まで1:1の関係で流すと考えれば過変調の考えは薄くなり、オーバーピークを監視することが重要となります。

つまり、今まで設けられた放送音声基準レベルだけでは完全に音の大きさを揃え切れないのが現実です。

その結果、視聴者はレベル感を合わせるために、テレビのリモコンを手にしてフェーダーのように音量を上げ下げしなければいけなくなりました。



現在までに使われている、主なオーディオメータの種類
VUメータ

音を扱う仕事をする上では最もポピュラーなメータ。

VUメーターの指示範囲は-20から+3で単位はVU。
実信号から針が振れるまでの時間は300msecを基準としています。
振れ方の特徴として低域成分に対し敏感に表示され、中域成分(セリフ、ナレーション等)は聴覚感に近く触れ、高域には反応が遅い。



ピークメータ

音声信号をデジタル化し(サンプリング周波数・ビット数は各種方式あり)表示します。
VU系と違い、瞬時の信号レベルを捕らえ表示します。
一般に触れが大きいほどレゾリューションが高くなるので再現性が高くなると言われます。
(振れ例)金属音のような高域成分に対し敏感に表示される。全般に聴覚感とは比例しにくい。



上記の特徴
基本的には電気的特性(アナログ・デジタル)を示すもので、人間の聴覚特性や心理特性は加味されません。


基準レベル

一般にデジタルフルビットスケールに(FS)に対して-20dBまたは-18dBをVUメーターの0VUとして運用しています。 楽器メーカー、海外製品などはこれらとは異なった値をを基準としている機器もあります。
デジタルフルスケールは絶対値なので、アナログの基準レベル(通常+4dBu=0VU)に変換する時の基準をピークからどれだけ下がった値とするかでヘッドルームの値が変わります。
クリップからノイズレベルまでの範囲(ダイナミックレンジ)は機器の性能で変わります。


その他

SPL(サウンドプレッシャー)メータ

音圧レベルを表示。主にPAや劇場、騒音測定等で実音に対し測定用マイクから入力され換算された音圧数値を表示。(単位dBSPL)

同じ音圧レベルの音でも、人間の耳は音の周波数の違いによって異なる大きさの音として認識されます。このような聴覚特性に応じて、周波数による重み付けを行い算出した音圧レベルが、音の大きさを表す量として用いられています。




 






ラウドネスの要素
ラウドネスメータとは
VU計やピークメータがある意味「電圧」をそのまま測定しているのに対し、ラウドネスメータは人間が耳で音を
聞いた時に感じる”音の大きさを表示します(簡単に言うと、人の感性値を加味し表示します)。
上記を再現するには、まず再生音に対しその音を人間がどのくらいの大きさの音で聴いているのか?
というところからとなります。

人間の聴覚には次のような特性があるといわれています。

周波数特性(f特)
聴いている音の大きさによって周波数特性は変わる。例えば音が小さくなるほど低音や高音が聞こえにくくなる。

マスキング特性
大きな音に埋もれた小さな音は聞こえにくい。

時間特性
瞬間的な大きな音より、長く持続している音の方が大きく聞こえる。

上記の人間の持つ聴覚の特性を加味し、
音声信号電圧に処理を加えると、
「ラウドネス」という値が求められます。

つまり「ラウドネス」を計測するためには、
上記のような人間のもつ聴覚特性にあわせた
補正処理が必要となるわけです。

これまでのアナログ技術ではこれらを、
正確に早く処理することが困難でした。

デジタル技術の発展により、
実用レベルにまで達した表示が可能となり、
各社からラウドネスメータとして発表されています。

「ラウドネスメータ」は”人間が感じる音の大きさ“を表すために、
計測する対象を人間の感覚量に置き換えた表示機です。


ラウドネスレベル?

人間の感性はみんな違います。身長、体重、言語(感覚)…….
.(骨伝導含め)。ただそれを言い出すときりがないので
規格化しようとする声があります。
規格化することで、同じレベル感覚で制作した番組を世界配信できます。

この規格をITU(国際電気通信連合)やEBU(欧州放送連合),
日本の放送局等でも近年来共通化しようとの声が上がりました。

海外ではラウドネスメータ表示の規格としてITU-R BS.1770-2等規格が始まっています。

日本では様々な協議を経て昨年春に ・民放連「TO32」 ・ARIB(電波産業界)より「TR-B32」 として規格化されました。


メータ規格
前記した特性に、人間の聴覚の周波数特性をLeq RLBと呼ばれるハイパスフィルタ係数を使います。



メーター機器は入力された「音声信号」を、「臨界帯域フィルタ」で人間の耳の持つ特性の帯域に分割し、各帯域の値を検知します。 次に「聴感の周波数特性」で、聴感に合わせた値をそれぞれの周波数特性に合わせ計算します。 そして「聴感の時間特性」で瞬間的な大きな音より連続した音の方が良く聞こえることを考慮し重みを付け、最後に全ての値を加え合わせ「ラウドネスレベル」とします。

 

 

フィルター?重みづけ?

ラウドネス値の計算のため、人間の耳の特性に合わせるためにフィルタリング処理をします。
Leq RLBとよばれるフィルタ「Bカーブ」(簡単に言えばローカット)
高域用の「Kカーブ」(中高域を上げる)R2LB
上記を重みづけといい、これらを加味してラウドネス値を計測します。

ちなみにラウドネスの単位でLKFSとあるのは上記のKカーブを使うためです。
*LUFSは(ラウドネス・ユニット・フル・スケール)

 
主なラウドネスメータ用語
ターゲットレベル
番組やCM単位の平均聴感(目標)基準レベル。 日本では-24LKFSと言う値になりました。
単位(LKFS/LUFS))→Loudness,K-weighting , Full-Scale

ロングターム
プログラム(CM1本から長尺番組でも)全体での平均値ラウドネスレベル。

ショートターム
3〜10, 30秒間の積分レベル平均値。

モーメンタリー
測定時間を400msに区切り、かなりリアルタイムに近い感覚の積分レベル平均値。
(400msを単純に切るのではなく300msのクロスタイムを入れる計算方法がオーバーラップ)

下の信号にゲートをかけて計算には反映させません。

セーフティ・ゲート
積分時間(上記各レベル計算値)の中で無音部分をどう扱うか等が問題となります。 (例:CM前後の無音0.5秒) ロングタームレベル値を表す場合に、無音部分が長く一瞬大音量があった場合ラウドネス値としては低く計算されます。 このためあるレベル以下は無音とみなし、積分時間に反映させないこととなりました。-70LUFS以下

リラティブゲート
上記積分値を基に中心レベル(-10LUで)でゲートをかけて再計算する。 (中心レベル-10LUを基に再計算)

まとめ

アメリカやイギリスではCM放送レベルに対する規格化が始まっています。 業種は少し違いますが、映画館のトレーラ(宣伝)にもレベル規制があります。
日本のデジタル放送も、数十年前に高速道路ができた時と同じように、制限速度(レベル)を決めたり、車の性能を上げたりしている段階です。制限速度が決まれば、メーターが必要になり、ラウドネスレベル自動制御装置も求められるかもしれません。 過去に制作した放送素材と新規格対応のCM含め 一見規制をかけるように見えますが、皆さんの家族が気持ちよく視聴するにおいては必要な規格でもあるわけです。放送が体に悪影響を与えないため、家族揃って楽しくテレビを視聴するためにも。

上記の聴感値の監視を目的にしたものがラウドネスメータです。

 

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株式会社エス・シー・アライアンス

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