放送の聴感レベル
現在までに使われている、主なオーディオメータの種類
同じ音圧レベルの音でも、人間の耳は音の周波数の違いによって異なる大きさの音として認識されます。このような聴覚特性に応じて、周波数による重み付けを行い算出した音圧レベルが、音の大きさを表す量として用いられています。
ラウドネスの要素
ラウドネスメータとは
VU計やピークメータがある意味「電圧」をそのまま測定しているのに対し、ラウドネスメータは人間が耳で音を
聞いた時に感じる”音の大きさを表示します(簡単に言うと、人の感性値を加味し表示します)。
上記を再現するには、まず再生音に対しその音を人間がどのくらいの大きさの音で聴いているのか?
というところからとなります。
人間の聴覚には次のような特性があるといわれています。
周波数特性(f特)
聴いている音の大きさによって周波数特性は変わる。例えば音が小さくなるほど低音や高音が聞こえにくくなる。
人間の聴覚には次のような特性があるといわれています。
マスキング特性
大きな音に埋もれた小さな音は聞こえにくい。
時間特性
瞬間的な大きな音より、長く持続している音の方が大きく聞こえる。
上記の人間の持つ聴覚の特性を加味し、
音声信号電圧に処理を加えると、
「ラウドネス」という値が求められます。
つまり「ラウドネス」を計測するためには、
上記のような人間のもつ聴覚特性にあわせた
補正処理が必要となるわけです。
これまでのアナログ技術ではこれらを、
正確に早く処理することが困難でした。
デジタル技術の発展により、
実用レベルにまで達した表示が可能となり、
各社からラウドネスメータとして発表されています。
「ラウドネスメータ」は”人間が感じる音の大きさ“を表すために、
計測する対象を人間の感覚量に置き換えた表示機です。
ラウドネスレベル?
人間の感性はみんな違います。身長、体重、言語(感覚)…….
.(骨伝導含め)。ただそれを言い出すときりがないので
規格化しようとする声があります。
規格化することで、同じレベル感覚で制作した番組を世界配信できます。
この規格をITU(国際電気通信連合)やEBU(欧州放送連合),
日本の放送局等でも近年来共通化しようとの声が上がりました。
海外ではラウドネスメータ表示の規格としてITU-R BS.1770-2等規格が始まっています。
日本では様々な協議を経て昨年春に ・民放連「TO32」 ・ARIB(電波産業界)より「TR-B32」 として規格化されました。
メータ規格
メーター機器は入力された「音声信号」を、「臨界帯域フィルタ」で人間の耳の持つ特性の帯域に分割し、各帯域の値を検知します。 次に「聴感の周波数特性」で、聴感に合わせた値をそれぞれの周波数特性に合わせ計算します。 そして「聴感の時間特性」で瞬間的な大きな音より連続した音の方が良く聞こえることを考慮し重みを付け、最後に全ての値を加え合わせ「ラウドネスレベル」とします。
フィルター?重みづけ?
ラウドネス値の計算のため、人間の耳の特性に合わせるためにフィルタリング処理をします。
Leq(RLB) (Revised Low Frequency B Curve)とよばれるフィルタ「Bカーブ」(簡単に言えばローカット)
高域での頭部の影響を受けて周波数特性が変化する音響効果をシミュレートした特性(中高域を上げる)
を組み合わせた「Kカーブ」で補正してラウドネス値を計測します。
ちなみにラウドネスの単位でLKFSとあるのは上記のKカーブを使うためです。
*LKFS Loudness, K-weighted, relative to Full Scale
*LUFSは(ラウドネス・ユニット・フル・スケール)LKFSと同じ。
主なラウドネスメータ用語
ターゲットレベル
番組やCM単位の平均聴感(目標)基準レベル。 日本では-24LKFSという値になりました。
単位(LKFS/LUFS))→Loudness,K-weighting , Full-Scale
ロングターム
プログラム(CM1本から長尺番組でも)全体での平均値ラウドネスレベル。
ショートターム
3~10, 30秒間の積分レベル平均値。
モーメンタリー
測定時間を400msに区切るゲーティングブロック、かなりリアルタイムに近い感覚の積分レベル平均値。
(400msを単純に切るのではなくゲーティングブロックを100msずつズラしながらオーバラップさせて測定する)
下の信号にゲートをかけて計算には反映させません。
セーフティ・ゲート
積分時間(上記各レベル計算値)の中で無音部分をどう扱うか等が問題となります。 (例:CM前後の無音0.5秒) ロングタームレベル値を表す場合に、無音部分が長く一瞬大音量があった場合ラウドネス値としては低く計算されます。 このためあるレベル以下は無音とみなし、積分時間に反映させないこととなりました。-70LUFS以下
リラティブゲート
測定値と人の間隔をより合わせるため、上記積分値から10dB低いゲーティングブロックをさらに除去する再計算する。
ラウドネス運用基準は、番組全体の音の大きさを平均ラウドネス値で規定し、異なった番組間の音量感をそろえます。
まとめ