埼玉県入間市を拠点とするFMチャッピー様では、マスター設備の更新に際しAPSに「Harmony」を導入されました。以前よりスタジオコンソールとして運用いただいている「iQ」との親和性を活かし、より安定した放送環境を実現されています。
更新検討時の話や、現在の使用感について、技術の秋山 知広様にお話を伺いました。
埼玉県入間市にあるコミュニティFMラジオ局。愛称は「FMチャッピー」。阪神淡路大震災の際にコミュニティFM局が果たした役割が入間市でも認められ、震災の2年後の1997年に開局。市民の方に放送に出てもらうこと、その縁をまちづくりにつなげることを大切に運営。来年2027年には開局30周年を迎える。
お話を聞いた方:
技術 秋山 知広さん
FMチャッピー歴16年。技術から制作・営業まで全般的に関わる。
1. 10年の運用を次世代へ ―システム更新の背景
───FMチャッピーさんについて教えてください。
秋山さん:FMチャッピーは、埼玉県入間市のコミュニティFMです。開局のきっかけは、阪神淡路大震災にあります。当時、現社長が被災地に視察に行った際、町のコミュニティFMが情報を発信する有用性を非常に感じたそうです。入間市長も同じく被災地を見ていて、すぐに意見が一致し、震災から2年後の1997年に開局しました。2027年には開局30周年を迎えます。
コミュニティFMは「まちの人たちの手による、まちのための放送局」というコンセプトが基本的にあると思います。「どのようにたくさんの市民の方に放送に出ていただくか」に、日頃からこだわっています。そこでできたご縁は、例えばまちづくりのプロジェクトを起こしてみたり、その先まで繋げていくことを意識していくことが重要だと思っています。
───2022年にAPSを更新していますが、どのような背景だったのでしょうか?
秋山さん:更新前はSCAのDADシステムを使っておりましたが、OSのサポート終了が大きな転換点でした。
当時は原因不明の不具合が起こることもあり、「不正終了してしまったときのために、リモートアクセスで復活できるシステムにしてもらう」など、常に先手の対策に気を使っていたように思います。
そんな折、2019年に登場したばかりのHarmonyを知り、新しいシステムへの期待と不安が入り混じる中で検討を始めました。
───更新にあたって、重視した点は?
秋山さん:素材の取り込みとプレイリスト管理といった、既にルーティンとなっている運用からスムーズに移行できるかを重要視していました。DADは10年以上使っていたので、スタッフも操作が身についているからです。
社内でも「更新は必須」という共通認識があったので、「運用を最適化するシステムは何か」という視点で協議を進めました。
───Harmonyにした決め手はなんでしたか?
秋山さん:当時新しいシステムで未知数だったのですが、「国産ソフトウェア」が決め手となりました。海外製はどうしてもサポートのタイムラグがありますが、国産ソフトウェアは不具合の発生時はもちろん、メンテナンスの安定感が桁違いだと思います。
また、以前のシステム(DAD)に近い操作感だったことも大きいです。長年お付き合いのあるSCAさんは我々のシステムや現場を熟知してくださっているので、その信頼関係も決定打になりましたね。
Harmony導入後のマスターラック
2. APSに任せられるから、「まちの人」に会いに行ける
───設備更新は安いものではないと思いますが、Harmonyの価格はどのように捉えていましたか?
秋山さん:本音を言ってしまえば、安い買い物ではなかったです。ですが、私たちがAPSを導入する最大の理由は「スタッフが局の外へ出かけられる」ことにあります。少人数で運営する私たちにとって、システムが安定し、安心して局を離れられることは、営業活動や市民の方々との交流に直結します。それが巡り巡って収益となり、APSのメンテナンスに還元できる。この好循環が作れるんです。
もしAPSがなければ収入の面だけではなく、スタッフは休みが取れず、旅行にも行けません。スタッフの働き方が根本から変わってきますよね。そう考えると、導入するメリットは計り知れないと思います。
3. SCAのトータルソリューションで実現する、誰にでも優しいスタジオ運用
───スタジオ機材も弊社(SCA)から導入いただいていますね。
秋山さん:スタジオのデジタル化を進めるにあたり、SCAさんが取り扱っているAXIAのiQコンソールを導入しました。Harmonyとのシステムの相性の良さを重要視しているので、SCAの推奨製品にしました。
まず1スタジオから導入してみて、今は2スタジオにも入っています。iQはチャンネルを自由に変えられたり、コンプレッサーをそれぞれ挟んだり、デジタルならではの良さがありますね。
PA卓用の民生用ミキサーもありますが、フェーダースタートが効かなくなるなど、運用面で不便が生じます。やはり放送用コンソールを諦めたくないですね。
───デジタルミキサーにしたことによって、便利になったことはありますか?
秋山さん:プリセット機能が本当に便利ですね。私たちの局では、社員スタッフが制作する場合と、市民ボランティアの皆さんが制作する場合があります。
「社員用」ならPC操作を重視したレイアウト、「市民スタッフ用」ならシンプルな操作感など、使う人に合わせて最適な設定を一瞬で切り替えられるようになりました。
1スタジオのiQコンソール
4. 「5年無事故」で、心置きなくお正月休みへ
───導入してから、日々のオペレーションに変化はありましたか?
秋山さん:素材取り込みのスピードが「爆速」になりました!DADでは素材の取り込み一つを取っても時間がかかっていたのですが、Harmonyではストレスが減りましたね。
また、オプションのHarmony STUDIOを導入したことで、以前の運用スタイルを変えずにスムーズに移行できた点も、非常にありがたかったですね。
───Harmonyを使い続けてきて感じる「最大のメリット」は何ですか?
秋山さん: 導入して5年、初期バージョンでの導入だったにも関わらず、大きなトラブルは一度もありません。これは本当に驚きです。
私たちはイベントなどで出張することも多く、どうしても局舎を空けなければならない日があります。現場に出ている間はPCに触れることすらできませんから、離れた場所にいても「放送が止まらない」と信じられる「安心感」が何より重要なんです。
休日も一応当番を立てて監視はしますが、スタッフのみんなが実家に帰れて、ちゃんとお正月休みが取れたのも、Harmonyが5年間不具合なく動いてくれているおかげなんです。
───設置工事もSCAが担当させていただきましたが、対応はいかがでしたか?
秋山さん:当時のシステム更新は大掛かりなプロジェクトでしたが、常に詳細な説明をいただきながら進められたので、全くストレスを感じなかったですね。何より、「番組を一度も止めることなく、計画通りに完工してくれた」ことには、プロ意識を感じました。
一般的に、技術力の高い会社さんは「職人気質」で説明が難しかったりすることもあると思うんです。でも、SCAさんは違って、腰の低さや丁寧さが工事の端々にまで表れています。困った時にも誠実に対応していただけるので、本当に心強く、ありがたく思っています。運用上の相談にも親身に答えてくださるので、それが日々の安定稼働に直結していると感じます。
Harmonyでの素材登録作業
5. 操作感は変えず、ミスは防ぐ「親切設計」
───どのような局にHarmonyをおすすめしたいですか?
秋山さん:とにかく安定感があるシステムなので、これまでメンテナンスや不具合対応に苦労されてきた局さんには自信を持っておすすめしたいですね。今、手動運用で頑張っている局さんにも、この安心感を味わっていただきたいです。
───Harmonyのお気に入りのポイントはどこですか?
秋山さん:素材の入れ替えが容易になりました。DADの時代は、カット番号の管理は上書き確認くらいでしたが、今Harmonyは親切設計でカット番号の紐付きが分かりやすくなりました。これにより、素材取り込みミスのヒューマンエラーも少なくなっています。
また、データが取り込まれていない時に警告が出るのも助かりますね。以前はプレイリストの作成忘れミスがありましたが、今は「データがなし」と赤くエラー表示が出るので、未然に放送事故を防げます。
変化した部分もありますが、DADから操作感が大きく変わらない点も、現場としては大きなメリットです。
6. 30周年の節目に挑む。「待つ」から「届ける」放送へ
───今後の展望をおしえてください!
秋山さん:2027年で開局30周年になるので、支えてくださった市民の皆さんにどう還元していくかが今のテーマです。この節目に、地域の皆さんに心から喜んでいただけるものを形にしていきたいと考えています。
今はメディアが多様化している時代ですから、ただ放送を受信していただくのを「待つ」のではなく、こちらから能動的に「届けにいく」ための環境づくりに挑戦したいですね。
もちろんラジオをスマホでも聴くこともできますが、非常時には通信状況が不安定になるリスクもあります。だからこそ、アナログの電波で情報を届ける「ライフライン」としてのラジオの意義は、これからも決して変わりません。
「チューニングを合わせるのを待つだけではないシステム」へとアップデートしていける、そんな予感がしてるんです。
───ありがとうございました!